DTM講座

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1. 主要三和音(トニック・ドミナント・サブドミナント) 6. 置換ドミナント
2. ドミナント・モーション 7. 各種スケール上でのコードの役割
3. セカンダリー・ドミナント 8. Ex.
4. U-X 9.
5. 代理コード 10.

「ケーデンス」とは・・・,音楽って,本当に専門用語が多いですね。こういった用語の多さが,初学者にとって音楽理論を敷居の高いものとしている点は否めませんが,とりあえずここでもこの言葉を使用したいと思います。改めて,「ケーデンス」とは日本語で「終止形」を意味します。始まった曲は,いつか終わらなければならない。何らかの形で始まったコード進行が,あるコードを終着点にその進行を終える。そういう意味で,「コード進行の最小単位」を指します。

1. 主要三和音(トニック・ドミナント・サブドミナント)

移動度 ファ
根音(ルート)
トライアド+7th C△7 m7 m7 F△7 7 m7 m7(♭5)
Tmaj7 Um7 Vm7 Wmaj7 X7 Ym7
性質 SD SD
T(トニック)
調性を司るコード。多くの楽曲がトニックで終止する。ノン・ダイアトニックコードを含むあらゆるコードに進行できる。
D(ドミナント)
三全音を含む不安定なコード。トニックに進行したくなる性質がある。
SD(サブドミナント)
トニック・ドミナントとは無関係で,ある種の展開をもたらす。

ダイアトニック・コード中,Tを「トニック」Xを「ドミナント」「Wをサブドミナント」と呼び,この3つのコードを「主要三和音」と言います。和音構成が似ている,または共通しているもの同士は同じ働きをします。

[ケーデンスの種類]
1. Tのみ 曲とは言えない。効果音みたいな感じ。
2. (T→)D→T ドミナント・モーションのケーデンス。
3. (T→)SD→T 俗に「アーメン・コード」。SD→Tという進行が「アーメン」のBGM
4. (T→)SD→D→T  基本ケーデンス。
5. (T→)D→SD→T  クラシックでは本来認められていないらしいが,既に一般化している。

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2. ドミナント・モーション

上表2.にあるように,ドミナント・コードであるX7がトニックのTに移行する動きのことをドミナント・モーションと言います。ドミナント・コードは三全音を含む不安定なコードであり,トニックに進行することで「安定」ないし「解決感」を得ることから「ドミナント解決」ともいいます。三全音(トライトーン)とは,全音3つ分(増4度・減5度)の音程で,X7では3度と7度の音程差がこれにあたります。

ドミナントからトニックに移行すれば何でも「ドミナント・モーション」になるわけではありません。これをまとめると・・・。

7

maj7,□m7,□m(maj7)等

こちらは7thじゃないとダメ。

5度進行(ルートが5度下行)

解決感のないコード(diminish等)以外なら何でもオッケー。

「X→T」の動きに限らず,一般に7thコードから5度下行する動きをドミナント・モーションといいます。同じ7thコードに進行することもできますが,この場合は解決感が得られないので,どちらかというと「ドミナント進行」,ということになります。

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3. セカンダリー・ドミナント

ドミナントV7は様々なコードに解決することが可能ですが,Cダイアトニック・スケール上で7thコードはG7しかありません。では,ドミナント・モーションは「X→T」しかないのかというと,そうでもないのです。

[Key on Cにおけるセカンダリー・ドミナント]
C△7 m7 m7 F△7 7 m7 m7(♭5)
7 7 7 7 7 7  

通常のドミナント

セカンダリー・ドミナント

 
m7(♭5)にはセカンダリー・ドミナントはなく,解決することはできません。

セカンダリー・ドミナント自体はダイアトニック・スケールを構成するコードではありません。あくまで,ダイアトニック・コードへの「解決感」を得るために用いられるものです。ダイアトニック・コードの間に挟んで橋渡しするように用いるのが良いでしょう。

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4. U-X

典型的なケーデンス「SD→D→T」の1つに,「Um7-X7-Tmaj7」があります。「X→T」は,先ほどお話ししたドミナント・モーションですが,これからお話するのは「U→X」の部分です。別に取り立てて特別なわけではありませんが,「U→X」は,同じサブドミナントを使った「W→X」に比べ,ルートが5度進行(4度上行・5度下行)になるため,好んで使われます。

m7
m7(♭5)

7

5度進行(ルートが5度下行)

ここも同じく,実際には「U→X」に限らず,マイナー・コードから5度下行して7thコードに進行する場合を広く「U→X」と呼んでいきます。

というわけで,とにもかくにもコード進行の基本は「5度進行」だ,と言わんばかりですが・・・。実は,そういうわけでもありません。ここで挙げたものは,「大きな解決感」を導くための進行ですから,ひっきりなしにこんな形で進行する必要は全くないのです。普通は2度や4度の進行でつないでいき,場面を変えたり山場を作りたくなったときに,またはアレンジの1つの材料として,こういった5度進行が力を発揮してくることになります。

ところで,この「U-X」の応用として,「7thコードをU-Xに分割できる」,というのがあります。X7コードは「Um7-X7」に分割できるということです。

分割前 7 C△7
分割後

m7

7

C△7

これは,アドリブ・アレンジにも使える大切な理論なので,しっかりと頭に入れておきましょう。理論は理論なんで,どうしてそうなんの?って言われると,ちょっと困ってしまいます。例えば,「G7」の構成音は「G,B,D,F」で,「Dm7」のルートと3度を含んでいます。・・・,う゛ーん,すごく結果論的な説明ですね。そう言う意味で,7thコードじゃないと分割はできませんので,ご注意ください。

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5. 代理コード

さて,ダイアトニック・コードとケーデンスを学んできましたが,この組み合わせ以外にコードやコード進行は存在しないのか,というとそうではありません。[和声]でも少し触れましたが,世に出回っている曲のほとんどが,今までみてきたダイアトニック・コード以外のコードやコード進行を使用しています。ここからは,「ノン・ダイアトニック・コード」としての代理コードをみていきます。

※下表は長調の代理コードになります。短調の代理関係については,[各種スケール上でのコードの役割]を参照。
トニックの代理コード

Ym7,Vm7,♯Wm7(♭5),T7,Vm7(♭5)

ドミナントの代理コード Zm7(♭5),♭U7,Zdim
サブドミナントの代理コード Um7,W7,♯Wm7(♭5),Ym7,♭Zmaj7,Z7
サブドミナント・マイナー マイナー・キーのダイアトニック・コードである「Wm」を同主調から借用したもの。SDmと略す。Wm,Wm7,Wm6,Wm(maj7)
サブドミナント・マイナーの代理コード Um7(♭5),♭Z7,♭Umaj7,♭Ymaj7,♭Y7
D代理

Zdim

これは普通のダイアトニック・コード(三和音)。
SDm代理

Um7(♭5)

林檎ちゃんが好んで使う。かなり個性的な印象のあるコード。Zm7(♭5)とともに覚えておこう。

[補足] トニックは,基本的に調性を司るコードなので,もとのダイアトニック・コードの調性上重要な3などの音を含む他のコードや転回形であることが多いです。ドミナントは,ドミナント・モーションを作る上で重要なトライトーン(三全音)を含む,というのがポイントになると思います。サブドミナントは,もともと曲をつなぐぐらいの意味しかありませんから,代理コードの幅は広いです。音がかぶってたり,同じような橋渡しができるなら,代理が可能のようです。なお,サブドミナントについては,それ自身の代理と,代理機能を有するサブドミナント・マイナーと,サブドミナント・マイナーの代理,の3種類があります。

サブドミナント・マイナーを使ったケーデンスは,以下のようになります。

[サブドミナント・マイナーを経由するケーデンス]
1. (T→)SDm→T
2. (T→)SD→SDm→T
3. (T→)SDm→D→T
4. (T→)SD→SDm→D→T

サブドミナント・マイナーの基本的な役割はSD(サブドミナント)ですが,ケーデンスとしては「SD→SDm」の結びつきが強いです。やはり,SDmは調性外の音ですから,SDから経由するのが基本だということでしょう。

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6. 置換ドミナント

ドミナントの代理コードに「♭U7」というのがあります。先に,ドミナントコードは三全音(トライトーン)を含む不安定なコードだと説明をしましたが,「♭U7」は,「X7」の持つトライトーン(3度と7度)をひっくり返したものを含んでいます。というわけで,「♭U7」も7thコードですから,ドミナント「X7」と同じ役割ができるということになります。

具体的には,「U-X-T」の進行を「U-♭U-T」という進行に置き換えることができ,これを置換コードと言います。「裏コード」と呼ばれることもあります。「U-X-T」のルートの5度進行を,「U-♭U-T」では半音進行に置き換えることができるので,こちらも好んで使われます。

ここで,「7thコードはU-Xに分割できる」というのがありましたが,置換ドミナントも7thコードですから,当然同じように分割することができます。

ドミナント 7 C△7
置換ドミナント D♭7 C△7
置換ドミナントをU-Xへ分割 A♭m7 D♭7 C△7

というわけで,表U-Xと裏U-Xの関係をまとめると,次のようになります。

[置換ドミナントのU-X化]

全部で4通りの進行が編み出せちゃうわけです。う゛ーん,ちょっとわかりにくい図ですね。「Um7」を「♭Ym7」で置換するという意味ではありません。置換するのはあくまで「X7」→「♭U7」であって,その「♭U7」が「♭Ym7→♭U7」に分割できるという意味です。

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7. 各種スケール上でのコードの役割

T・・・トニック,D・・・ドミナント,SD・・・サブドミナント,SDm・・・サブドミナント・マイナー,▲・・・特殊なコード機能
[長調]
コード 役割 使用可能スケール
T Ionian
Lydian
Um7 SD Dorian
Vm7 Phrygian
W SD Lydian,Ionian
X7 Mixolydian
Altered Dominant
Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Combination of Diminished
Wholetone
Ym7 T(SD) Aeolian
Zm7(♭5) Locrian
コード 役割 使用可能スケール
♭U(M7) SDm Lydian
Um7(♭5) SDm Locrian
Locrian #2
Vm7(♭5) Locrian
Wm SDm Dorian
Melodic Minor
(上行型)
#Wm7(♭5) Locrian
♭Y SDm Lydian
♭Z(M7) SD Lydian
コード 役割 使用可能スケール
T7 Mixolydian
Lydian Dominant
Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Wholetone
Altered Dominant
Combination of Diminished
♭U7 Lydian Dominant
U7 DD Mixolydian
Lydian Dominant
Wholetone
Combination of Diminished
Altered Dominant
♭V7 Lydian Dominant
V7 Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Altered Dominant
W7 SD Lydian Dominant
Mixolydian
Wholetone
♯W7(♭X7) Lydian Dominant
♭Y7 SDm Lydian Dominant
Mixolydian
Y7 Mixolydian ♭6th
Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Altered Dominant
Mixolydian
Wholetone
Combination of Diminished
♭Z7 SDm Lydian Dominant
Mixolydian
Z7 Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Altered Dominant
Lydian Dominant
Combination of Diminished
[短調]
コード 役割

使用可能スケール

Tm Natural(Aeolian)
Harmonic Minor
Melodic Minor
Dorian
Um7(♭5) SD Locrian
♭V Ionian
Lydian
Wm SD Dorian
X7 Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Altered Dominant
Mixolydian ♭6th
Combination of Diminished
Mixolydian
♭Y SD(T) Lydian
Ym(♭5) Locrian
Locrian #2
♭Z(7) SD Mixolydian
Lydian Dominant
Zdim

コード 役割

使用可能スケール

♭U(M7) SD Lydian
Um7 ▲SD Phrygian
Xm(7) ▲D Phrygian
Aeolian
コード 役割 使用可能スケール
T7 Mixolydian ♭6th
Mixolydian
Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Combination of Diminished
Wholetone
Altered Dominant
♭U7 Lydian Dominant
U7 DD Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Altered Dominant
Lydian Dominant
♭V7 Mixolydian
Lydian Dominant
V7 Lydian Dominant
W(7) T(SD) Mixolydian
Lydian Dominant
♭X7 Lydian Dominant
♭Y7 SD Lydian Dominant
Y7 Harmonic Minor P5th Below
Spanish 8 notes
Altered Dominant
Lydian Dominant
♭Z7 SD Mixolydian
Lydian Dominant
Z7 Altered Dominant
Lydian Dominant

えーっと,基本書抜粋になってしまいましたが・・・(汗)。全部覚えてどうのこうのではないと思います。コード機能については,自分の使いたいコードがどんな機能なのかが最低限わかれば良いですし,利用可能スケールについては,コード進行に対してメジャーな使われ方をするものを覚えておけばとりあえずは十分でしょう。

一番下の段のコードとスケールは,セカンダリー・ドミナントとその代理コードです。

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8. Ex.

cadence1

majorのケーデンス・サンプルです。即興で作ったのでえらく適当ですが,どうかご勘弁を・・・。
因みに,この部分は場面的にサビっぽいです。曲として作ったわけではないのですが,[アレンジ]の偽終止解説部分で,Bメロっぽいフレーズを掲載しています。あわせて聴いてみてください。

さて,一応ケーデンスの解説ということなので,それっぽいコード分析をしてみましょう♪

まずは,使用キーが「Amajor」ですから,このキーで使用できるダイアトニック・コードは以下のようになります。「♯」は3つ付けます。

移動度 ファ
根音(ルート) C# F# G#
トライアド+7th A△7 m7 C#m7 D△7 7 F#m7 G#m7(♭5)
Tmaj7 Um7 Vm7 Wmaj7 X7 Ym7

そして,このサンプルのコード進行は,以下のようになっています。サビの部分ということもあって,同じような展開を2回繰り返していますが,繰り返しの最後の部分が少し異なるので注意して聴いてみてください。

小節 1 2 3 4 5 6 7 8
使用コード

D△7

m7 C#m7 F#m7 G#m7(♭5) C#m7 D△7 m7 C#7
ネーム Wmaj7 Um7 Vm7 Ym7 Vm7 Wmaj7 Um7 V7
小節 912 13 14 15 16 17
使用コード 14小節と同じ) m7 G#m7(♭5) C#7 F#m7 m7 7 6
ネーム Um7 V7 Ym7 Um7 X7 T6

部分的に見ていきましょう。

[14912)小節目]

出だしから早速意味不明ですね〜。「SD→SD→T→T(SD)」の流れですから,大きく捉えて「SD→T」でしょうか。いずれにせよ,何の展開もありません。強いて言うなら,「Vm7→Ym7」の部分は5度進行を意識しています。

[56小節目]

「Zm7(♭5)→Vm7」の展開です。一応,5度進行です。

[8小節目]

この「V7」はどうでしょうか。後の[アレンジ]で偽終止の説明を行いますが,それに近い使い方かと思われます。ドミナント経由ではありません(滝汗)。この後サビの頭に戻りますが,サビ頭の3度「F#」と半音進行になるのが若干気持ちよかったりします・・・。

[1415小節目]

ここはちょっぴり難しいですね。15小節目のYm7セカンダリー・ドミナントに「V7がありますが,それを14小節目で分割し,「Zm7(♭5)→V7」にしてあります。もちろん,これも「U-X」です。

[1617小節目]

ここがいわゆる,基本ケーデンス「U→X→T」の展開ですね。「T6」は個人的な趣味ですが,どちらにしても,ここで曲が終わることに変わりはありません。8小節目の「Um7→V7」と聴き比べてみてください。8小節目では,どうあがいたって終止には向かえませんよね?

いくつか基本的なコード進行をみてみましたが,コード進行はこれだけではありません。曲は1つのキーを基調にして作っていくのが原則ですが,時には「ノン・ダイアトニック・コード(その調の構成音では作れないコード)」で曲をアレンジしていくこともあるでしょう。

作曲をする際,上述のケーデンスを一々意識しながら作っているわけではありません。要は,演奏してみて「気持ちいい」と思えればそれで良いわけです。もちろん,あまり無意識にコードを並べただけでは,1つの曲調を構成することはできませんし,ましてや曲にもなりません。しかし,これまでの説明に出てきた「不協和音」や「不調和なコード進行」というものは,本来人間が自然に感じてそう思うものなのです。通常の感性をもって曲作りに励めば,そんなにおかしなものはできないハズです。

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